* マリモと愉快な仲間たち * (終了)

>>>   もる@ゾロ

コックの魔法と剣士の魔法(3) 2006-12-24 21:52:06 

「あぁ!そうかー。そうだったのかー。」

ポンと手を打つのんきな声がラウンジの空気をがらりと変えた。

「なんだ、ゾロとサンジはすっげぇー仲良しなんだな!そっか、そっか。」

やたら静かだと思ったら今頃気づいたか船長。

 

「あんた、理解するの遅すぎ。・・・って、なにデザート全部食べてくれちゃってんのよ!」

コックはナミとルフィの声に恐る恐るといった表情で視線を走らせると、状況を思い出したのか顔を強張らせて再び真っ赤になった。

「ナ・・ナミさん、これは・・・・このクソマリモと俺は・・・何の関係も・・・・。」

フルフルと体を震わせラウンジに集まるクルーを見渡してやがる。 

あんなツラみんなに見せといて今更遅ぇよコック。

「サンジくん、航海に支障ないなら構わないから。・・・・それよりデザートよ。食べたかったのに。」

それよりって、そんな扱いかよ おい。

見れば考古学者の並べた皿はすっかり空になっていた。

鳴りもしない口笛吹いてあらぬ方向を向くルフィだが、犯人はおまえしかいねぇだろうが。

「あらホントね。楽しみにしていたのに。」

残念だわ と続ける女の横で 鼻と船医も食べたかったと嘆いている。そうだな、コックのデザートは格別だからな。

甘みを押さえた俺仕様のデザートを思い出し喉がゴクリとなった。

俺も食いたかったぜ。ま、いいか、もっと美味ぇもん味わったからな。

「ルフィ。てめぇナミさんやロビンちゃんの分まで!勝手に食うんじゃねぇ!!」

食べ物の事でようやく正気に戻ったか、クソコック。反応がおせぇぞ。 

「悪ィ悪ィ。 みんなゾロとサンジがくっついてる方ばっかじっと見てっから、いらねぇのかと・・・。」

「なっ、てめぇ。」

コックが言葉を詰まらせている、ここは俺がびしっと言ッとかねぇとな。びしっと。

「ルフィ、コックの許可無く勝手に食うな。それと、こういう訳だ、コックに手ェ出すなよ。」

「なー、サンジ。チューってうまいのか?」

「チュ・・・!!!!!!!!!」

おいコラ。 その伸びてる腕は何なんだ。何考えてやがる?ルフィはにししと笑い 人の話なんか聞きいてやしねぇ。

「なー、ゾロ?」

ん?俺に聞くのか?そりゃぁサンジとのキスは・・・・

「あぁ・・・さ

「こンのクソゴム! 腐ったマリモもいっぺん頭冷やしてこいやぁ!!クソ野郎どもが」

最高だ。と俺が答える前にルフィの身体が吹っ飛んだ。

タイミングを見計らった鼻が開けた扉を通過し飛んでいく。

と、俺の腹にもコックの蹴りが入って視界がぶれた。

相変わらずいい蹴りしてやがる。考えるまもなく 俺の身体もラウンジを飛び出て気づけば海に落ちていた。

溺れかけているカナヅチを回収して船を目指す。全く、能力者ってのは厄介なもんだ。

ぐる眉め、思い切り蹴飛ばしやがって、船が遠いじゃねぇか。

あの調子じゃあっちの方は暫くお預けか?

チッ。さっきのあのキスの続きを想像するだけでこっちは軽く3回はイケそうだってのに。

・・・・だが。少々荒っぽかったが俺の考えは通じたな。

あの蕩けるような微笑みはそういうことだろ?

 

下ろされた縄梯子を半分ほど進むと 細い女の腕が船壁に現れてぎょっとする。突然の出現には未だ慣れねぇ。

「ゾロ、よかったわね。サンジくんあんたのこと認めたわよ。聞き出したあたしに感謝してよね。・・・・・って、航海士さんからの伝言。」

俺を蹴り飛ばした後、魔女共に問い詰められて白状したらしい。

魔女からの伝言は終わったのに口の咲いた腕は俺を追って移動する。なんだってんだ。

「剣士さん、貴方って凄いのね。コックさんのあんな顔。貴方の言葉一つでコックさんは満たされるのね。今も航海士さんに貴方の事聞かれて素っ気無い振りしてるけど コックさんたら嬉しそうな顔が隠せないみたい。」

思わせぶりに女が笑う。覗いてみたら?と囁く女の声が珍しくどこかはしゃいで聞こえた。

登りつめた船縁から顔を半分出して声のするほうを見れば。

勘弁して・・と言いながらも魔女の問いに逆らえないコックが、普段魔女共に向けるのとは違った自然の笑みを今日は時折こぼしていた。

「貴方はコックさんだけの魔法使いなのね。」

そう残して細腕が消えた。

 

 

 

この投稿をもちまして、

ゾロ誕企画 『*マリモと愉快な仲間達*』は

終了とさせていただきます。

お付き合いありがとうございました!

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>>>   もる@ゾロ

コックの魔法と剣士の魔法(2) 2006-12-22 07:38:07 

『歳くっちまったら・・・。たまにゃぁ、・・・てめぇと会う事もあるのかねぇ?』 

少し儚げな横顔と台詞を思い出した。

先の未来を危惧するコック。

俺たちは海賊だから安穏な未来が有るとは限らねぇし、歳くった先の生死なんてわからねぇが、

生きている限り俺はお前を離す気はねぇ。

だがお前の口ぶりだと少し違うみてぇに感じるのは気の所為か?

・・・・お前がそんなつもりなら 少し思い知らせてやらねぇといけねぇ。

ルフィが海に落ちた日に 『チョッパー以外の奴には触らせねぇ』って言ったよな。何ルフィに舐められてんだよ、おまえ自身も気をつけろ!

狸寝入りをしていた俺にオールブルーを 『見つけたら一番に、シーフードスペシャルを振舞ってやるぜ』って言ったじゃねぇか。ナミとロビンにいつでも一番に給仕するだと? 普段ならいいが、約束の日がやってきたらお前はどうする気だ。

日付の変わったあの時間に 『来年の誕生日にも、いちばんにおれの視界に入るのがてめェだといい』 と。

夜明けに『来年も、再来年も・・・・その先も、一生な。』と。互いに話したじゃねぇか。

あれらは、先の・・未来の『約束』だろ。

俺はそれを守るぞ。お前ごと。

その深さを思い知れ、クソコック。

 

「コック。お前はジジィになっても俺の隣だ。いつまでも、だ。手放しゃしねぇぞ、絶対に。」

クルーの視線が ガタンと音を立てて立ち上がった俺に集まった。

脈絡の無い話題の内容に騒がしかったラウンジが一瞬で静寂に包まれる。

一番ぽかんと口を開けて呆けているのは言われたコック当人だ。

面白れぇ。

 

「聞いてくれ。俺とコックは・・・」力んだのはいいものの。

ちくしょう。 うまい言葉が出てこねぇ。

「ツガイだろ!?」

「・・・・・・・・・・え!?」

一番気付いてなさそうだった船医が、意外な一言を漏らす。 ほぉ、案外的確じゃねぇかチョッパー。

「まぁ。そんなもんだ。 だからコックには誰も手ェ出すんじゃねぇぞ。」

「お、俺は気が付いてたぞ(つい最近な) お前らの事はいつも温かい目で見てたんだ。 キャプテンウソップ様は船の内情に詳しいのさ。 」

鼻の下を人差し指で擦りながら何故か得意げにウソップが言う。 そうだな、お前は知ってるんだよな。

「生温いの間違いだろ・・・これからも頼むな。」

「・・・え・・・・・・・ええ??」

「剣士さん、コックさんをもう悲しませないでね。」

「これで解かったろ? もう覗くな。」

「あら覗いたんじゃないわよ? たまたまちょっと用があっただけ。」

「・・・・・・・!」

しれっと、微笑む女は咲かせた手で デザートにとシンクの脇に並べられていた皿をテーブルに運ぶ。見慣れたとは言え器用な動きだ。

「お前も、コックがなんと言っても本気にするなよ? コックは渡さねぇからな。」

「今更、何言ってるのよ。 だッたら二人に宿なんかとる訳無いじゃない。」

「えええええええぇぇぇぇぇぇ!!ナミさん ロビンちゃん!!??」

呆気にとられて固まったままのコックの鼻を指で弾くと ふふんと魔女は小悪魔のように微笑んだ。

コックは女に向かって壊れたおもちゃのように 口をパクパクと動かしてはいるが声になってはいない。

今までクルーにはわざわざ知らせる事はないと、なんとなく隠れたように過ごしていたが、別に俺は隠していた訳じゃねぇし。

こう言っておきゃぁ、コックが讃美してやまない この女共が勘違いしねぇように釘もさせるし。

なんだ。 じゃぁこそこそするこたぁ無かったんだな。

「チョッパーいつ気が付いた?」 コイツにだけは気づかれてねぇと思ってたのに・・案外曲者だ。

「朝一番でサンジの側に行くとゾロの匂いがするから・・・。何でかなーと思ってたんだけど 昨日・・・。」

ん?コックが我に返ったみてぇだ。

「な・・・何見たんだチョッパー?・・・いや!何も言わなくていい、言わないでくれっ。」

コックの顔は赤くなったり青くなったり忙しい。

ぐる眉を下げたり上げたり表情も目まぐるしく変わる・

やっぱり見てて飽きねぇ面白い奴だ。

その後ろで。((見ちまったんだなチョッパー))と青ざめる鼻と、ニヤニヤとこちらを伺う魔女の姿が見える。

とりあえず、黙認されてたみてぇだから、今のところコックにちょっかいを出す命知らずな馬鹿はいないだろう。

「この腐れクソマリモ、てめぇ何言ってくれてんじゃい!!」

シャツを千切れんばかりにわし掴み真っ赤な顔のコック。

クルーよりもコイツの方が難関かも知れねぇ。 ヘソ曲げられても厄介だしな。 どうすっか?

・・・あぁ; ガァガァとうるせぇ口だ。

グイと腰を引き寄せて小せぇ頭を押さえると構わず唇を重ねる。

暴れようが何しようが放さねぇ。

後ろで「ヒィ~~ッ」とか「子供は見ないのよ」とか聞こえるが関係ねぇ。

・・・既成事実ってやつだ。

開いた隙間に舌をねじ込み コイツのいいところをこれでもかと舐め上げる。 逃げようとする身体をきつく寄せる。

たっぷりと時間をかけて味わえば。

やがて突っ張っていた手が背に回され おずおずと俺の舌に答え始める。こうなりゃこっちのモンだ。

一層口付けを深くして堪能する。

すっかりここが今どんな状況なのかすっ飛んじまったらしく 大人しく身を任せるようになったコックの身体をそっと放す。

「俺の道案内はいつだってお前だ。ジジィになっても離れる気はねぇから。サンジ、覚悟しとけ。」

「おぅ・・・。」

言葉を理解したのか、やがて俺を見るコックの顔が蕩けるように微笑んだ。それは見惚れるほどの表情で。

くぅーーっ、このままくっちまいてぇ。

 

 

 

 

すみません長すぎるので続きます(><)

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>>>   もる@ゾロ

コックの魔法と剣士の魔法(1) 2006-12-20 01:57:49 

「いつか。『あの頃は』なんて昔話を誰かとするんなら、他の奴らじゃなくてめぇとしてぇなぁ。」 

「毒喰らった昨日みてぇな日も、そん時にゃ笑い話・・・・。いや、ホントは寝こけてただけなんて、今でも笑い話だけどよ・・・。」

 「歳くっちまったら・・・。たまにゃぁ、・・・てめぇと会う事もあるのかねぇ?」

 

不覚にも敵の毒にやられて意識をなくした翌日だった。

寝過ごして飯を食いっぱぐれたまま不寝番になった俺に、腹に入れとけと皿を渡すと コックは視線を海にやって独り言のようにポツリと話し出したんだ。

何の話からそうなったのか解からないが、珍しく真面目に話し始めたそれは、半分を過ぎる頃にはふざけた調子に変わり。 

そうして見せる顔は作り笑いのように儚く見えて 俺はなんだか締め付けられるような痛みを感じた。

 

サンジの作る美味くて温かな料理は、クルーをラウンジに引き寄せる。 

その食事を口にしたものは例え少量でもその味に満足した表情を浮かべ。

腹が膨れるだけでなく心の奥底をほんわかと温める。 

さっきまで敵だった奴でさえ、コックの食事を口にすればそれだけで打ち解けたように心を開き始めるんだ。 

それは俺には到底まねできない魔法だ。

今日もラウンジはサンジの魔法で賑やかだ。

「ゾロー。体の方はもういいのか? 今日も串団子振り回してたけど無理はやめとけよ?」

「団子?団子どこにあるんだ?隠すなよウソップ!」

「うぉーーっ、ルフィ無ぇよ、そんなとこにゃ隠しゃしねぇよ。」

手に持った最後の肉をゴクリと咀嚼すると 船長はうまそうな単語を口にした狙撃手のオーバーオールの肩紐を引っ張りその腹の中を探ろうと手を伸ばし。

それから逃れる為に立ち上がった勢いで狙撃手は派手に椅子を倒した。相変わらず煩い奴らだ。

「うっさいわねぇ。」

「まだ食事中よ。」

ナミの鉄拳と同時に 次々に現れた腕で戻された椅子に二人は強制的に座らされ、頭には出来たばかりの瘤が湯気を立てている。

この船の女共は実に大胆で、その潔さの中にはたまに思いやりもあり・・って・・・あるのか?・・・コック曰く『大変魅力的』なのだが。

「俺にはとてもわからねぇ。」

魔女にも例えられる事のある女達に 俺はそんな感情を抱く気持ちがわからない。 声に出したつもりは無いが どうやらそれを口にしていたらしい。

「え?ゾロまだどこか調子悪いのか?」

皿に残ったスープをパンの欠片で掬っていた船医が 俺の呟きに顔を上げると心配そうに眉を寄せた。

「いや。もうなんともねぇ、ありがとなチョッパー。」

「本当か?気になる事あったらすぐに言えよ。」

あぁ。と軽く返して何気なくコックを見れば、こちらを見るその目が一瞬心配そうに揺れた。

だがそれも俺と目が合うとなりを潜め、代わりに口端を引き上げ見慣れた挑発的な顔になり 口からは嫌味とも取れる言葉があふれ出す。

人前での言葉や態度とは裏腹な、とても素直とは言えねぇコイツにいらぬ心配はさせたくない。第一体調はもう万全だ。

コックからの売り言葉に乗って俺は言葉を返し、いつものように喧嘩になりかけたところで、こちらにもナミの制裁が向けられる。

「まったく。 あんた達ってば、毎度毎度元気ねー。・・・毒ぐらいじゃあんたは死にやしないわよねー。」

いってぇなぁ。人の頭をぽかぽかと殴りやがって、この女。

どちらかと言ゃぁ、てめぇのほうが容赦ねぇと思うが・・?

「そうですよ~ナミさんvvこのマリモには毒は効かないンですねー、・・・お前新種か?」

ナミにハートを飛ばし、振り返りバカにした顔で俺を見る。 ・・・新種はお前だクソコック。

「けっ、馬鹿が。」

「なんだとぉ。」

小さな呟きも聞き逃さないコックの投げたお玉が、避けることをしなかった俺の頭に命中する。

(あ、やべぇ。) という顔を一瞬だけ覗かせて 「とろくせェマリモだな。」すぐにいつものクルーの前での顔に戻る。

こんなコックの仕草が可愛いと思う。

俺の小さな言葉も聞き逃さない。ホントは心配してんのに表には出さない。・・・二人っきりの時にはもう少し素直なくせに・・。

全く可愛い奴だ。・・・こんな事本人にゃ口が裂けても言えんがな。

 

鼻の残していた肉をルフィが横取りした揉め事の方にコックは行ってしまった。チッつまんねぇな。

「「ウフフフ。」」

ナミとロビンが顔を見合わせて笑っている。

「なんだ。」俺を見て笑ってんじゃねぇ、こいつら気味悪ぃ。

「剣士さん、顔が緩んでるわよ。」

なんなんだ。この女は侮れねぇ。昨日も二人でいるところに出てきやがって(手だけだったけどよ)。何を考えてるんだか未だにわかりゃしねぇ。

「や~ね。」

この魔女。何が『や~ね。』だ。てめぇのその含み笑いの方がよっぽど『や~ね。』だぜ。

ドタバタと追いかけられたルフィがテーブルの周りを走り、手を付いた拍子に皿が勢いよくひっくり返る。

運悪くそのとばっちりを受けたコックの顔にホワイトシチューの飛沫が飛んだ。

まだ走り回ってたのか馬鹿どもめ、・・・コック。その顔やらしいぞ。

「もったいねぇ。」

!! 何しやがんだ!この野郎離れろ。

ルフィは逃げるのをやめると コックの頬に付いたシチューをぺロリと舐めた。

ひっぱがそうと腰を浮かすのと同じ頃 ナミが声を押さえて笑い出す。?・・気でも狂ったかこの魔女?

静かになったラウンジの注目を浴びると 魔女は、『ごめんごめん』と言いながらまた少し笑った。

「あんた達毎日飽きないわねって思ったらつい・・・。」「なんかねー。いつまでこんな風にしてられるのかしらっておもって。」

「俺はじいさんになっても冒険を続けるぞ。」

巻き付いていたコックから離れるとルフィは意気揚々と腕を上げた。 ・・・ようやく離れたか、もう勝手にくっつくんじゃねぇ。

他の奴らもそれぞれ何か言ってたが俺は、コックが舐められた頬を腕で拭うのをじっと見ていた。

よしよし、ルフィの痕跡なんて残すんじゃねぇぞ。

「──サンジくんは 年取っても今のままなのかしらね~。」

「俺?俺はナミさんやロビンちゃんにいつでも一番に給仕しますよー。麗しいレディお二人とはいつまでも・・・・・。」

ナミの声に コックがメロリーンと鼻の下を伸ばす。そんなだらしねぇツラしてんじゃねぇよ。

『いつまでも』?何言ってやがるこのぐる眉。

いつまでも一緒なのは俺と だろうが。ちくりと腹の辺が騒ぐ。

なんだこれ。 つい最近もこんな感じがあった。・・・あぁ。船縁でコックの独り言を聞いた日だ。

『歳くっちまったら・・・。たまにゃぁ、・・・てめぇと会う事もあるのかねぇ?』 引っかかったのはこの言葉だ。

お前の未来で俺は何処にいる? そこでも俺は迷子なのか?

 

 

 

 

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>>>   つる@ロビン

星降る夜の獣たち 2006-12-12 01:16:54 

不寝番は嫌いじゃないわ。

特にこんな、星のきれいな夜にはね。

にぎやかなクルーたちが眠りについて、しんと静まり返った空間でする読書は格別よ。

けれど、夜食の差し入れに来てくれたコックさんは、なんだか申し訳なさそうな顔をしていたわ。

「おれが代わってあげられるといいんだけど…」って。

いいのよ、気にしないで。

それよりあなたは、剣士さんについていてあげなきゃならないのでしょう?

 

今日は昼間、敵襲があって。

大した敵ではなくてすぐに片付いたのだけれど、剣士さんが毒矢に当たったらしくて。

倒れたまま、ずっと目を覚まさないの。

解毒剤は敵船から奪ったから、船医さんがすぐに投与したのだけれど…。

そして、剣士さんは顔色もよく脈拍も正常で、健康的ないびきをかいていたけれど。

とにかく目を覚ますまでは要観察、ということになったわけね。

それからずっとあのコックさんは、剣士さんが寝かされているラウンジをほとんど離れていない。

 

あら…この本に出ている史跡、確か昨日の新聞に紹介されていたわね。

新聞はどこにあったかしら…たぶんラウンジだわ。

ちょっと見るだけだから、取りに行くのも面倒ね。 オッホスフルール…。

ああ、あれね。剣士さんの寝ているマットの脇に片付けてある。

あら…コックさん?

剣士さんの傍らに腰を下ろして何をしているのかしら。

規則正しく寝息を立てる精悍な顔をじっと見つめている。

 

なんて切ないまなざし。

声は聞こえなかったけれど、唇が『ゾロ…』という形に動いたわ。

そうしてコックさんは眠り続ける剣士さんの上に覆いかぶさり、頬に刻まれた矢傷を舐め始めた。

まるで、傷ついたつがいの相手を癒そうとする獣のように。

 

この優しいひとに、こんな哀しい顔をさせるなんて。

剣士さん、あなた早く目を覚まさなければいけないわ。

 

コックさんを慰めようと、私は彼の肩に腕を生やして、形のよい頭を撫でてあげようとしたのだけれど。

突然、ばちっと音がしそうな勢いで、剣士さんが目を開いた。

自分の頬に舌を這わしているコックさんには目もくれず、鋭い眼光でハナハナの手を睨みつける。

 

昼からこっち、まったく目を覚まさなかったのに。

コックさん以外の人間の気配を感じ取って、警戒心を抱いたのね。

ナーバスになっている、手負いの獣そのものね。

だけど私は、あなたのつがいの相手に手を出したりする気は毛頭ないのよ。

 

新聞を見るのは明日にしましょう。

私は再び、見張り台での読書に戻ったわ。

今夜は本当に星がきれい。

つがいの二頭にふさわしい、ロマンティックな夜ね。

 

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>>>   リキン@ナミ

なぞなぞ 2006-12-10 17:56:20 


盗みは得意よ。

もちろん、最初から得意だったはずもないし、好きなわけでもないけどね。

いつの間にか、体に染み付いてしまったのよね。

それにアンテナが 「何かある」 って察知するみたいなの。

・・・で、気付けばこんな風に手の中に。

この紅茶を入れてくれた時に・・・ね? あら、やっぱり気付いていた?ふふっ。



ただの走り書きのメモなんだけれど、やっぱり私のアンテナは感度がいいわ。

昨夜のことなんだけれど・・・。



深夜になぜだかキッチンに足が向いたのよ。

中には入らなくても、丸窓から中が見えたし、声も聞こえた。

ほら、掠め取るだけが、盗みじゃないってことよね。

なんだかそれってロビンの能力と似ていないかしら? そう思わない?



そうそう、サンジ君が酔っ払っていたのよ。なかなかお目にかかれない光景だったわ。

あのザル?ワク?の底なしを相手に、1人で嬉しそうに、一生懸命話していたわ。

ウソップに頼んだ発明品のことや、私たちがいかに可愛いいか、とかね。

ケタケタ笑っていたかと思ったら、床にしゃがんで、テーブルにちょこんってアゴをのせて。

とろけそうな顔でゾロを見上げて言うのよ。

「なぁ、お前の一番の好物って何なんだ」ってね。

「大剣豪になった時のお祝いに、一番先に食べさせてやるから、教えてくれ」ですって。

ああ、顔と言葉のニュアンスが半分も伝わっていないと思うけれど、そりゃもう、見ものだったわよ。



でね、しばらく黙った後に、あのムッツリ野郎は「当ててみろ」って言ったの。

顔は見えなかったけれど・・・想像つくでしょ?

「まず、最高にうめぇ」

「そりゃそうだろうな・・・・美味くて?」

「いい匂いがする」

「ちょ、ちょっと待て・・、俺酔ってるみてぇだから、メモしておくよ」



そのメモが、きっとこれね。

『 うまい・いい匂い・なめらか・キラキラ・小生意気・やわらかい・・・・ 』

段々字が乱れてきてるわね。

アホらしくて、私は「キラキラ」の頃に部屋に戻ったわ。



さて、美味しい紅茶のおかわりを頂かなくっちゃね。これはサンジ君のポケットに戻しておくわ。

それから私は・・・ゾロとなぞなぞでもやろうかしら。

たんまりベリーをかけてね♪



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